平成27年度第1回運営企画会議(平成27年5月23日開催)にて,本学会における研究倫理に関する具体的なルールと運用が制定されましたのでご案内します.

 

研究の倫理審査における倫理規定の運用内規

1.目的
 この内規は,倫理規定第1章総則の第5条から第8条,および第10条に示す(研究者としての責務),(共同研究者の責任),(インフォームド・コンセント),(個人情報の保護)および(利益相反)に基づき,本学会における研究倫理に関して,具体的なルールと運用について定める.
   
2.適用範囲
 この内規は,本学会に投稿されたすべての著作および本学会が主催・またはそれに相当する学術大会における応募演題の倫理審査に適用する.
   
3.管理体制と具体的な審査分担
(1)  本学会誌に投稿されるすべての論文等の倫理審査は,編集委員会委員が各専門分野に応じて担務し,必要に応じて倫理審査委員会委員が審議に加わる.
(2)  本学会のRadiological Physics and Technology(RPT誌)に投稿されるすべての英語論文等の倫理審査は,英語論文誌編集委員会委員が各専門分野に応じて担務し,必要に応じて倫理審査委員会委員が審議に加わる.
(3)  本学会が主催またはそれに相当する学術大会等における応募演題の倫理審査は,プログラム委員会の倫理審査担当委員が担務し(主務は総会学術大会と秋季学術大会のみ),必要に応じて倫理審査委員会委員が審議に加わる.
   
4.研究協力者の生命,健康,プライバシーおよび尊厳の保護
 倫理規定第1章総則の第5条の(研究者としての責務)に基づき,患者やボランティア等の研究協力者(以下「協力者」という)の生命,健康,プライバシーおよび尊厳を守るための倫理規定の具体的な運用について示す.
(1)  研究を行う本学会の会員が主体となって計画・実行を行う研究班等(以下「研究実施者等」)は,当該研究・医療機関の倫理審査委員会の承認の有無に関わらず,協力者に対して,不利益となる被ばく,過度な肉体的苦痛,または,不必要な薬剤投与等の侵襲的な行為を課してはならない.
(2)  研究実施者等は,協力者に対して,時間的,肉体的拘束を伴う行為,または,精神的な負担を課する場合は,必ず当該研究・医療機関の倫理審査委員会の承認を得なければいけない.
(3)  研究実施者等は,当該研究・医療機関に所属するスタッフ等を含むすべての協力者から得られたすべてのデータ(検査結果,アンケート結果,被ばく線量等)を個人情報として取り扱い,それらを研究に用いる場合は,必ず当該研究・医療機関の倫理審査委員会の承認を得なければいけない. 
(4)  国外からの応募演題および投稿論文に関しては,原則として,それぞれの国情に応じて,研究実施者等が所属する機関の倫理審査委員会の判断を優先するが,上記の(1)については,国内からの応募演題および投稿論文と同様に扱う.
   
5.不正行為の禁止と防止
(1)  いかなる場合であろうとも,正当な理由なく,研究実施者等が取得したデータの一部を削除・修正・改ざんする行為は認めない.
(2)  他人の著作物にある表現や独自性・独創性のあるアイディア・企画等を盗用し,それを独自に考え出したものとして公衆に提示する行為は認めない.
(3)  論文の成立に直接貢献していない者が,あたかも論文の共同執筆者であるかのように名を連ねている場合は,それをギフトオーサーシップと見なし,当該論文の採択を取り消す.
(4)  当該研究・医療機関の倫理審査に関して虚偽の申請が明らかになった場合は,その時点で,応募演題および論文等の採択を取り消す.
(5)  倫理審査委員会は,不正の疑惑が生じた場合,研究実施者等に対して実験データや倫理審査委員会の承認書類等の提出を求め,確認する.
   
6.二重投稿の定義
(1)  本学会が発行する印刷物および電子出版物について,既発表の論文,または他の学術雑誌に投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿する,または,既発表の論文と本質的に同じ内容の演題を本学会の学術大会等に応募する行為を,本学会における二重投稿と定義する.
(2)  行われた行為が二重投稿であるか否かの判断は,International Committee of Medical Journal Editors (ICMJE)が提唱する基準に準じる.
http://www.icmje.org/recommendations/browse/publishing-and-editorial-issues/overlapping-publications.html
(3)  原則として,以下の条件が当てはまる場合に二重投稿と見なす.
 
A. 既に発表されている論文との差異が明確に記述されていない.
B. 投稿された論文または演題に,既に自身が発表している論文または著作物の本文,図表等の一部を引用し,かつ,その出典を明記していない.
C. 投稿された論文または演題と同一の著者または少なくとも1名の著者が同じで,内容が同一または極めて類似した内容の論文が既に発表されている.
D. 本学会に投稿した論文または演題と同一の内容で,別の言語で発表した論文が既に発表されている.
(4)  他の学会や国際会議等のプロシーディングス(Proceedings)は,原則として既に発表された論文として認めないが,そのプロシーディングスが一般に公開され,閲覧可能な場合は,論文と同等に取り扱う. 
(5)  地方支部や他の学会等で発表された演題と類似の内容で本学会の総会・秋季学術大会に演題を投稿する行為は,既に発表した内容または発表方法について再考し修正した場合に限って,二重投稿とは見なさない.また,学術大会等の発表後抄録等は二重投稿の審査対象外とする. 
(6)  上記事項以外で,二重投稿の取扱いについて疑義を生じた場合は,編集委員長,英語論文誌編集委員長,または,プログラム委員長が二重投稿の可否について判断し,倫理審査委員長の承認を得る.
   
7.利益相反の告知
(1)  本学会において学術研究発表(論文発表を含む)を行う研究実施者等が,企業等から金銭・物品・株式等の供与を受けており,かつ,その額が年間10万円相当以上で,その事実が公開されなかった場合は,その研究発表の採択を取り消す. 
(2)  原則として,本学会学術研究発表(論文発表を含む)のタイトル,または,本学会における研究班の研究テーマに関して,企業名や,特定の企業を同定できる語句を含むことを認めない.
   
8.担務
 この内規にかかわる事項の担務は,倫理審査委員会とする.
   
付 則
1.この内規は,運営企画会議の議決により改訂することができる.
2.この内規は,平成27年度事業より適用する.