本学会では,平成23年度より総会と秋季学術大会の演題審査システムを大幅に変更し,専門分野別の募集区分を細分化し,キーワードを指定することで募集する演題の効果的なグループ分類を可能にしました.しかし,多様化する放射線技術科学研究において,現状の演題募集区分表では応募者の希望に満たない事例が多く見受けられるようになっています.さらに,登録演題数の増加に伴い,放射線管理や画像工学の演題募集区分では,同一研究分野であるにもかかわらず発表演題群が分散する事例が多発するようになりました.そこで,プログラム委員会では現行の演題募集区分を見直し,今年10月に実施される第44回秋季学術大会(大宮市:梁川範幸大会長)から変更することにしました.

 新しい演題募集区分は表1に示すように,4階層の選択方式となっています.最初の第1階層の「区分」では発表の場として希望する専門分野を選択してください.これは,応募された演題の審査を専門部会から選出されたプログラム委員が行っているため適切な専門分野で審査されることを目的としています.本学会で専門分野ごとの研究を促進するために設置されている専門部会の研究内容については表2を参照してください.なお,「区分」に含まれない「医療安全」「感染」「法規」「教育」などは「その他」を選択することで,専門部会とは別に学術委員会から推薦された審査員が専門性の高い審査を行います.

 第2階層の「分類」では発表する内容について最も重要と思われる研究テーマに関する項目を,第3階層の「モダリティ」からは研究に使用したモダリティを選択してください.そして,最後に第4階層の「臓器」から研究対象となる臓器を選択してください.臓器に関係がない研究の場合はその他を選びます.ここに示したのは新しい演題募集区分の一部ですので,詳細については学会誌第72巻4号に掲載する第44回秋季学術大会の演題募集要項および演題申込みサイトで参照可能な全体図のPDFを参照してください.

 今回の新しい演題募集区分の採用により,発表者の希望を優先しながら重複する研究分野を効率よく分類することが可能となり,その結果として演題応募者の不満が大幅に減少し,プログラム審査の効率が向上することを期待しています.

 
表1 新しい演題募集区分 

第1階層 区分 防護,計測,画像,撮影,核医学,放射線治療,医用情報,その他から選択
第2階層 分類 教育,放射線防護,画像・画像評価,基礎技術,臨床技術,救急医療,等から選択
第3階層 モダリティ 単純X線,血管撮影・IVR,超音波,CT,MRI,外部照射,粒子線,等から選択
第4階層 臓器 脳脊髄,頭頸部,乳腺,呼吸器,心大血管,肝胆膵脾,消化管,全身,小児,等から選択

 
表2 専門部会とその研究内容 

区 分
主な研究内容
防 護 医療における放射線安全管理を考え,放射線被ばくに係わる調査,コメント・声明の発信,ガイドラインの作成,被ばくに関する研究を行う.
計 測 研究の基礎をなす「計測」について研究し,X線診断・放射線治療・核医学・放射線管理・MRI・超音波などにも共通した多くの基礎的問題を抱えている.この問題を解決するとともに放射線技術学領域を中心とした計測学の研究促進をはかる.
画 像 医用画像形成全般,画質評価,画像処理および解析,コンピュータ支援診断(CAD)の開発および臨床評価等の技術や手法の向上と臨床応用.すべてのモダリティの医用画像が研究対象.
撮 影 一般撮影から血管撮影,消化管撮影,CT検査,MR検査,超音波検査,骨密度検査と多岐にわたり,エビデンスに基づいた技術を医療に提供できるように,環境を整備し情報を共有するとともに,最先端の研究を推進する.扱う領域は臨床に直結した放射線技術学であり,新しいエビデンスを構築するための研究を行う.
核医学 放射線技術学だけでなく医学,薬学,理工学などとの学際的な見地から,放射性医薬品ならびに核医学装置(SPECT,PETなど)の開発や評価を行う.また,核医学装置の撮像法,画像再構成法,補正法,定量解析法など核医学検査技術についてのエビデンスを構築する.さらに,核医学検査(RI内用療法を含む)に関する安全管理や医療安全など実務に直結する研究も行う.
放射線治療 放射線治療の臨床,放射線治療技術学,放射線計測学,品質保証・品質管理,放射線安全管理,放射線治療の医療安全などについて研究する分野である.がん治療に貢献する放射線治療全般に関する研究を含める.
医療情報 情報という観点から放射線技術学領域におけるすべての業務分析と安全・管理・評価,医療経営・経済の視点からの分析・統計の研究.医用画像領域における情報システムの開発と管理・評価法の研究.情報の安全な取扱いや法律,医療における標準化の取り組み,診療の現場から地域連携まで広い範囲を研究領域とする.

 

表3 新しい演題募集区分の全体図 (pdf

演題の図