臓器の機能や疾患の病態を画像化,定量化できる核医学検査は,他の画像診断検査とは異なる機能画像を取得できることで確固たる地位を築いてきました.近年では,生体内の細胞・分子レベルの現象を生きたまま画像化する分子イメージングが注目されています.特にPETは創薬や病態研究に有用とされ,個別化医療に寄与すると考えられています.核医学診断機器はCTやMRなどの他のモダリティを受け入れることで発展し,その中でもPET/MRは異なる機能画像の融合やPETとMRの同時収集など新たな可能性に期待がされています.その他の画像診断検査の機能画像へのアプローチも積極的にされています.Perfusion CTは簡便かつ即時性に優れることから急性期脳梗塞の診断へと広く利用されています.MRの機能画像は多彩な撮像法の開発とともに発展しており,脳神経の活動を観察するfMRIや脳血流を測定できるASL,拡散強調イメージングのADCによる拡散能の定量評価など,日々活躍の場を広げ続けています.さらには一般撮影や血管造影を含めた透視検査領域においても,FPDの出現により様々な機能情報をリアルタイムに可視化することができるようになりました.放射線治療分野において,CTやMRなどの形態画像にPETから得られる機能画像を組み合わせることで生物学的情報を加味した治療計画を立案することが可能となっています.また,これら機能画像を私たちが有効利用できるのも画像解析,画像処理技術の開発や進歩なくしては語ることができないでしょう.

 本特集号では,分野を問わず画像診断や治療方針に相補的な情報を提供できる「機能画像」を利用した論文を会員の皆様から募集します.また,2016年の第72回総会学術大会で発表された方,2016年の第44回秋季学術大会ならびに2017年の第73回総会学術大会で発表を予定されている皆様からも奮ってのご投稿をお願いします.

チーフエディタ 我妻  慧 (東京都健康長寿医療センター研究所)
エディタ 内田 幸司 (えだクリニック整形外科リハビリテーション科)
  志田 晃一 (つくば国際大学)
  松原 孝祐 (金沢大学)
  李  鎔範 (新潟大学大学院)

 

1.対象分野: 放射線技術に関連するあらゆる分野の機能画像に関する論文で,本学会誌の投稿区分の原著・ノート・臨床技術・速報・資料のいずれかとする.
2.論文投稿締切日: 平成29年6月1日(木) 引き続き募集中です。
機能画像を用いた研究で9月末日までに採択されれば、特集号へと掲載させていただきます。
3.掲載予定号: 第73巻 第11号(平成29年11月20日発行予定)
4.論文の執筆と取扱い:
  論文ついては本会ホームページ「学会誌・論文投稿」の投稿規定を参照してください.
  非会員の論文筆頭著者の投稿料は,特集号に限って必要ありません.
  予定総ページ数を超えた場合や手続きの都合で特集号以降に掲載される場合もあります.