婦人科領域のがんで最も一般的な子宮がんは,子宮頸がんと子宮体がん(子宮内膜がん)があります.
このうち子宮頸がんは,外子宮口付近に発生することが多いため,婦人科の診察や細胞や組織を採取することで早期発見・早期治療が可能な疾患です.また,細胞診では,がん細胞が子宮頸部に見つかる以前の異型細胞の段階から診断することができるため,子宮頸がん検診は非常に有効な方法であり,検診を受けることで,進行がんを防ぎ死亡を減らす効果が証明されています.欧米において検診の受検率は高く,アメリカでは,18歳以上の女性の86%が過去3年以内に1回以上検診を受けている(2002年)のに対して,日本では過去1年以内に受けた女性は15%に満たない状況で,欧米と比較して国民の関心が低いことがわかります.子宮がんの罹患率は2005年の統計で,全体として年間約17.500人のうち,子宮頸がんが約8.500人であり,年齢別にみた子宮頸がんの罹患率は,20歳代から40歳前後まで増加した後横ばいになり,70歳代後半以降で再び増加する傾向があります.近年は,罹患率,死亡率ともに若年層で増加傾向を認めています.一方で,子宮頸がんの発生には,その多くの場合,ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)の感染が関連しているといわれており,最近では,一部のHPV感染を予防できるワクチンが利用可能となっています.
本シンポジウムの基調講演では,子宮がんという疾患の概要について解説するとともに,子宮頸がんに対するワクチンを用いた予防医学的見地からの解説も加えて分かりやすく解説します.その後で各分野の専門家が登壇してシンポジウムを開催します.まず,子宮がん検診の柱である細胞診の検査を取り上げて検診の有効性が分かるように解説した後,画像診断の有効な手段の一つであるMRI検査を取り上げて,実際の検査方法と得られる医学情報について解説します.続いて,不幸にも罹患した場合に治療の選択肢の一つとなる放射線療法について,技術的側面を中心に,治療方法の種類と実際の治療方法を紹介して解説します.最後に,総合的に子宮頸がんの治療における考え方や選択基準を中心に解説した後,総合質疑応答の時間を設けて,会場からのご質問にできる限りお答えします.
本シンポジウムが,子宮頸がんへの意識付けの契機となることを切望するとともに,本疾患に対する正しい知識を整理して,がん検診の大切さを理解していただくことで,市民の皆さまの健康維持に貢献できれば幸いです.
多くの市民の皆様のご参加をお待ちしています.

日時: 平成24年12月8日(土) 13:30〜17:00
会場: メルパルク京都
  〒600-8216 京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
TEL 075-352-7444(代)
参加費: 無料
事前申込: 不要
プログラム:
司会:本郷 隆治(京都桂病院),錦  成郎(天理よろづ相談所病院)
1. 基調講演「子宮頸癌は予防できる」
   
大阪府立成人病センター 上浦 祥司
  2. シンポジウム
   
1)
子宮頸部細胞診の実際
   
京都市立病院 三宅 秀一
   
2) 女性骨盤領域におけるMRI画像診断技術の解説
   
京都大学医学部附属病院 谷口 正洋
   
3) 腔内照射法等による放射線治療技術の解説
   
大阪府立成人病センター 宮崎 正義
   
4) 子宮頸癌に対する治療法〜手術療法を中心に〜
   
京都大学医学部附属病院 馬場  長
  3. 総合質疑・応答
後援: 京都府,京都市,京都府医師会,京都私立病院協会,京都府放射線技師会,
京都府看護協会,京都府臨床検査技師会,KBS京都,京都新聞社 (予定含む)
連絡先: 公益社団法人 日本放射線技術学会 事務局
TEL 075-354-8989  FAX 075-352-2556

ポスター[PDF

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