日本は世界的にみて肝臓がんの多発地域のひとつです.C型およびB型肝炎ウイルスの患者および感染者は,合わせて300万人を超えていると推定され,国内最大の感染症とも言われています.また,2000年における全国の肝臓がんと肝硬変による死亡数は43.821人であり,慢性肝疾患は死因の大きな位置を占めています.また,日本の肝臓がんの90%以上は肝細胞がんであり,肝細胞がんの大部分はC型肝炎ウイルス(HCV)あるいは,B型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染による慢性肝炎および肝硬変が発生母地となっています.肝細胞がんの発症を年齢別にみた場合,50歳未満ではB型肝炎,50歳以上ではC型肝炎の感染が主な原因となっています.
 厚生労働省は,肝炎の早期発見・早期治療を進めるため,肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成,検査の促進,研究の推進など,「新しい肝炎総合対策」を推進しています.現在,インターフェロン治療を受療すれば,ウイルスのタイプによって異なりますがC型肝炎で概ね5〜9割の方が完治するといわれています.
 近年では,この疾病に対する治療環境が急速に改善され,治療を積極的に行えば経済的な負担も軽減されつつ完治も可能であるといった観点から,疾患に対しての正しい知識と診断や治療法についての広報が必要であると考え,肝臓に注目した生活習慣の注意点を加えて,本学会の公益事業の一環として一般市民が無料で参加できるオープンなシンポジウムを企画しました.
 本シンポジウムでは,ウイルス性肝炎と肝細胞がんという病気を判りやすく解説した後,診断から治療,予防にいたるまでのプロセスに対して,それぞれ専門の立場から詳しく解説したいと考えています.シンポジウムが市民の本疾病に対する意識向上の契機となるとともに,疾患に対して正しい知識を身につけていただくための一助となれば幸いです.多くの市民の皆様のご参加をお待ちしています.

 

日時 平成23年12月10日(土) 13:30〜17:00
会場 メルパルク京都 会議室A
〒600-8216 京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676-13
TEL 075-352-7444(代)
参加費 無料
事前申込 不要
プログラム
司会:本郷 隆治(京都桂病院),錦  成郎(天理よろづ相談所病院)
1.基調講演「肝臓がん 最近の傾向とその対策」(60分)
大阪府立成人病センター 肝・胆・膵内科主任部長 片山 和宏
2.シンポジウム
1)肝がんに対する『切らない手術』(40分)
(医)藤井会大東中央病院 放射線科・IVRセンター副院長・IVRセンター長 中村 健治
2)肝臓がんの超音波検査について(15分)
京都桂病院 検査科 辻 真一朗
3)肝がんのMR検査について(15分)
大阪府立成人病センター 放射線診断科技師長 堀之内 隆
4)肝臓を労わるための栄養・生活指導(15分)
大阪大学医学部附属病院 安井 洋子
3.総合質疑・応答
後援 京都府,京都市,京都府医師会,京都私立病院協会,京都府放射線技師会,京都府看護協会,京都府臨床検査技師会,京都府介護支援専門員会,京都府栄養士会,KBS京都,京都新聞社
問合先 日本放射線技術学会事務局 TEL 075-354-8989