高橋信次先生(1912〜1985)

高橋信次先生は、CTの基礎概念を1950年代に世界に先駆けて提唱した日本が誇ることのできる世界のパイオニアです。高橋先生は、人体の一部の横断面のサイノグラムをフィルムに記録し、光学的にバックプロジェクションを実現することによってスライス像を構築していました。1978年にノーベル賞を受賞したハンスフィールドによるCT画像が1972年に示された事実と比較すると、高橋先生の研究は15年以上も前になります。高橋先生の業績は、1957年に日本学術振興会による英文によるRotation Radiographyという本に詳細に記述されています。英文誌Radiological Physics and Technologyの2012年号には、高橋先生の偉大な業績を称えて表紙には高橋先生の写真を用い、Editorial記事として高橋先生の生涯と業績を要約しました。

Rotation Radiographyは、現在、電子書籍として本学会のホームページ(PDF: 16MB)から入手することができます。
高画質の必要な方は、詳細なバージョン(PDF: 214MB)も入手できます。

*Radiological Physics and Technology 掲載のEditorial記事はこちらからご覧になれます。

 高橋先生は、更に、放射線治療の分野では1960年代に原体照射法を考案したIMRTの創始者としても知られています。高橋先生は、1912年に福島県二本松市に生まれ、東北大学医学部を卒業後、弘前大学教授、名古屋大学教授、浜松医科大学副学長、愛知癌センター総長を歴任されました。1984年には、文化勲章を受章されています。

(文責:土井邦雄)