現在,平成25年度から適用される科学研究費助成事業の「系・分野・分科・細目表」の改正案に対するパブリックコメントの募集が行われています.
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000528).
 意見は,8月24日必着で提出先 gakjosei@mext.go.jp へ電子メールで送信することになっています(郵便,FAXでも可能.詳細は上記URLをご参照ください).
 このパブコメ募集に対して,是非,会員の皆様には,分科細目「医学物理学・放射線技術学」の研究分野が今後ますます発展するよう,率直なご意見を提出して頂くことをお願いいたします.

 その理由については,以下の“真田意見”および“学協会意見”をご参照ください.

 科研費分科細目の「医学物理学・放射線技術学」は,平成21年度に2年間の時限付きで採用されました.また,平成23年度も延長され,平成24年度も延長されるという情報もあります.当学会ではこの分科細目を平成25年度の大改正において恒常的なものとするよう日本医学物理学会(学会長:遠藤真広様)と共同で関係方面に働きかけてきました.このパブコメについても遠藤学会長と連携して,会員の皆様にご案内している次第です.
 ただ,残念ながら現時点では「医学物理学・放射線技術学」は平成25年度から適用される改正案(pdf)には記載されておりません.まだ決定ではなく,本年12月頃に最終決定されるとのことです.すなわち,このパブコメへの多数の意見提出および次に述べる今年度の時限付き「医学物理学・放射線技術学」への多数の応募が復活の決め手となります.
 
 それと科研費の分科細目が採用されるためには,まずはその細目への応募課題が多数であることが極めて重要です.実はこの時限付きの「医学物理学・放射線技術学」に対して,平成21年度60件,平成22年度89件,平成23年度64件と,応募課題数が100件/年に届いていないことも改正案に採用されていない一因と考えられます.
 
そこで,特に研究・教育機関に所属されている会員の皆様には,平成24年度の科研費応募に際しては,是非とも「医学物理学・放射線技術学」に応募されることをお願いいたします.
 
 なお,関連学協会として当学会と日本医学物理学会,そして全国診療放射線技師教育施設協議会とが,既に文部科学省や学術振興機構に提出している意見もご参照ください(学協会意見).
 
 今回のパブコメは個人としての意見が求められています.
私は以下の意見を提出しますが,会員の皆様にはそれぞれのお立場で自由なご意見を提出していただければ幸いです.

▼ここから真田意見

 
 画像診断技術や放射線治療などを支える医学物理学・放射線技術学は,理工学と医学との境界領域あるいは複合領域です.既に多数の教育研究者がこの領域で活動しており,新たな人材も多数輩出されています.また,今回の福島原発関連でこの領域の研究者・技術者は,個人や組織を挙げて全力で種々の問題に取り組んでいるところです.
 そこで,既に医学物理学・放射線技術学分野として十分な実績を有する下記のキーワードに相当する分野について,現改正案のようにそれぞれ医学の一部,理工学の一部,総合系に散在する一部として分類するのではなく,総合系・複合領域の下に「医学物理学・放射線技術学」の細目として統合化することが強く望まれます.

1.  総合系・情報学・情報学フロンティア・「生命・健康・医療情報学」
(12)医療情報,(13)画像診断,(14)遠隔診断治療,(15)保健情報,(16)健康情報,(17)医用画像など
2. 総合系・情報学・情報学フロンティア・「ウエブ情報学・サービス情報学」
(4)セマンティックウエブ(と医学オントロジー技術)など
3. 総合系・環境学・環境解析学・「放射線・化学物質影響科学」
(1)環境放射線(能),(2)防護,(4)線量測定・評価,(10)リスク評価,(11)放射線管理など
4. 総合系・複合領域・人間医工学・「生体医工学・生体材料学」
(1)医用画像・バイオイメージング,(3)生体シミュレーション,(4)生体情報・計測,(9)バイオメカニクス,(12)医用物理,(13)超音波医科学など
5. 総合系・複合領域・人間医工学・「医用システム」
(1)医用超音波システム,(2)画像診断システム,(3)検査・診断システム,(7)医療情報システムなど
6. 総合系・複合領域・人間医工学・「医療技術評価額」
(2)安全性評価,(3)臨床研究,(4)医療技術倫理,(5)医療機器など
7. 総合系・複合領域・人間医工学・「リハビリテーション科学・福祉工学」
(10)健康・福祉工学,(11)生活支援技術など
8. 総合系・複合領域・人間医工学・「応用健康科学」
(2)ヘルスプロモーション,(9)保健健康管理,(10)保健健康情報など
9. 理工系・総合理工・量子ビーム科学・「量子ビーム科学」
(6)量子ビーム医療応用,(9)X線,(10)ガンマ線,(11)放射光,(12)中性子,(14)電子・陽電子,(16)イオンビーム,(17)陽子ビームなど
10. 生物系・医歯薬学・内科系臨床医学・「放射線科学」
(1)画像診断学,(2)エックス線・CT(技術学),(3)核磁気共鳴画像(技術学),(4)核医学(技術学),(5)超音波画像技術学,(7)放射線防護・管理学,(8)医用画像工学,(16)放射線治療学,(18)放射線治療物理学など
11. 生物系・医歯薬学・外科系臨床医学・「眼科学」
(16)眼医工学など
12. 生物系・医歯薬学・歯学・「病態科学系歯学・歯科放射線学」
(3)歯科放射線学一般(技術学)など
 近年,新たに確立された教育制度である保健学系・健康科学系の放射線技術学の数多くの教育研究者が,適切な分科・細目に応募できて厳正な審査を受けるために,上記のように「医学物理学・放射線技術学」の細目追加を切望します.