診療放射線技師試験出題基準の紹介
(Vol.59 No.8)学会長 藤田  透
 この度,厚生労働省から,下記の通知「診療放射線技師試験の出題基準の策定と改善について」を受けましたのでお知らせします.
 規制緩和推進の一環として,診療放射線技師についても,平成12年11月に養成カリキュラムが大綱化され,平成13年度の入学者から新カ
リキュラムに沿った教育がなされています.
 これらとともに,診療放射線技師試験についても,厚生労働省の下に委員会が設置され,本年2 月に,「診療放射線技師試験出題基準(ガ
イドライン)」等がまとめられました.平成16年度の国家試験よりこのガイドラインに沿った出題がされる予定となっています.それらの概
要を紹介します.
診療放射線技師試験の出題基準の策定と改善について
連絡先:東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省医政局医事課試験免許室
TEL 03-3595-2204
1.はじめに

 診療放射線技師試験は,診療放射線技師法(昭和26年6月11日法律226)第17条に基づき実施される試験であり,診療放射線技師として必
要な知識および技能の有無を評価するためのものである.診療放射線技師試験は昭和43年に第1 回が実施されて以来これまでに55回実施(平
成15年4月時点)され,現在の有資格者は約56,000人にのぼっており,診療放射線技師の資質の担保に寄与しているところである.
 わが国の医療提供体制は国民皆保険制度を背景に整備されてきているが,欧米諸国に比べてCTやMRI等の診療機器の普及率が高い等の特
徴を有している.このような状況は医療費の増加に影響している面もあるが,これらの診療機器は疾病の診断・治療等の日常診療を行う上
で重要な役割を担っていると考えられる.
 診療放射線技師(法制定時はエックス線技師)の業務は,当初エックス線装置の取扱いが中心であったが,医療技術・診療機器の進歩とと
もに,アルファ線・ベータ線をはじめとする放射線全般にかかる装置や磁気共鳴画像診断装置等にも広がってきている.
 診療放射線技師試験は,医療診療機器の進歩やそれに伴う業務の拡大など時代の要請を踏まえ,適切な範囲・レベルの維持に対応してき
たところである.
 平成10年3 月「規制緩和推進3 か年計画」が閣議決定され,医療関係職種の資質の向上を図りつつ規制緩和を推進するため,養成施設の養
成カリキュラムが大綱化されることとなり,各養成施設が時代のニーズに適切に対応した多様な医療技術者を養成できることとなった.診
療放射線技師についても,平成12年11月に養成カリキュラムが大綱化され,平成13年4 月の入学者から新カリキュラムに沿った教育が行わ
れているところである.診療放射線技師試験は従来旧カリキュラムに基づく教育内容を踏まえ行われてきたところであるが,カリキュラム
の大綱化に伴い,試験の妥当な範囲とレベルを設定する必要性が生じたことから,厚生労働省では平成14年6 月「診療放射線技師試験出題
基準作成検討会」を設置し,出題基準(ガイドライン)の作成を行うこととした.
 本稿では,平成15年2 月に作成された「診療放射線技師試験出題基準」及び「診療放射線技師試験の改善事項」を紹介することとする.

2.診療放射線技師試験出題基準と改善事項について

 診療放射線技師試験出題基準(ガイドライン)は,「診療放射線技師試験出題基準作成検討会」における5 回の審議を経て作成されたが,検
討に当たっては「全国診療放射線技師教育施設協議会」から事前に提案された出題基準(案)を参考にしており,審議途中に同協議会からの意
見を求めた上で取りまとめられた.
 診療放射線技師試験出題基準の特徴としては,1.新カリキュラムの教育内容を「見出し(章)」としていること,2.「中項目」に具体的な出題
範囲を示すとともに,「小項目」にキーワード又は中項目の説明を示し,中項目を具体化していること,3.出題範囲は出題範囲に記載された
事項に限定されず標準的な学生用参考書に記載されている程度の内容を含むものとされていることの3 点があげられる.
 また,同検討会は出題基準の作成に併せて,試験の改善事項を取りまとめた.具体的には,1.医療の高度化と専門化により診療放射線技
師が具有すべき基本的な知識量が増加したことを踏まえ出題数をこれまでの190題から200題に増やすこととされ,2.エックス線CT,MRIな
どの画像検査の進展が急速に進む中,適切な撮像を行うためには,病理や解剖などの医学的事項,画像機器,画像処理,画像の読影等に係
る知識が求められていることから,出題基準における「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」,「診療画像技術学」及び「医用画像情報学」の
分野の出題を強化することとされた.3.また,患者の安全を守るための医療安全対策に関わる知識と技能も強く求められていることから,
医療安全対策等に関する出題にも考慮することとされた.さらに,4.出題形式の見直し(回答コードを用いた出題形式(K(2),K(3)type)は
部分的な知識でも正解することが可能であり受験者の能力を正確に得点に反映しない等の指摘があることから,単純択一形式(A type)の出
題数の増加や五肢複択形式(X type)の導入を図ること),5.解釈力・応用力を問う問題の充実等が提案された.
 さらに,出題基準の作成に併せて省令改正を行い,一部の試験科目名が下記のとおり変更されることとなった.

旧試験科目
新試験科目
電気・電子工学(自動制御工学を含む) 医用工学
放射線機器工学 診療画像機器学
画像工学・エックス線撮影技術学 エックス線撮影技術学
診療画像検査学
画像工学
放射線写真学 医用画像情報学
放射性同位元素検査技術学 核医学検査技術学
放射線管理学(関係法規を含む) 放射線安全管理学

3.今後の方向性

 今回作成された出題基準および改善事項は,平成16年の国家試験より適用されることとなっているが,出題割合の見直しについては2 年
程度かけて段階的に見直されることとなっている.
 診療放射線技師試験は,今後も医療技術の進歩や時代の要請等に適切に対応するために必要に応じて改善を行っていく必要があり,出題
基準についてもさらに改良を加えるべく定期的に審議していくこととしている.


4.参考文献

 診療放射線技師試験出題基準(株式会社選択エージェンシー)平成15年6月出版

診療放射線技師試験出題基準の概要
◎診療放射線技師試験出題基準の作成,利用法について
◎診療放射線技師試験出題基準と診療放射線技師試験科目との対応関係
◎出題分野
○専門基礎分野
 見出し(章) 節,大項目,中項目,小項目の内容
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 人体の構造と機能及び疾病,公衆衛生について
保健医療福祉における理工学的基礎及
び放射線の科学及び技術
保健医療福祉における理工学,情報科学及び放
射線の安全な利用について

○専門分野
 見出し(章) 節,大項目,中項目,小項目の内容
診療画像技術学 エックス線撮影,エックス線コンピュータ断層撮影,磁気共鳴断層
撮影,超音波撮影等における装置の構成や動作原理,保守管理法並
びに撮影・撮像結果の解析と評価について
核医学検査技術学 核医学検査の原理及び装置の構成や動作原理,保守管理法並びに検
査結果の解析と評価について
放射線治療技術学 放射線治療の原理及び装置の構成や動作原理,保守管理法並びに治
療計画の解析と評価について
医用画像情報学 医用画像の成り立ちに必要な画像情報の理論,画像解析,評価,処
理及び医療情報システムについて
放射線安全管理学 放射線等の安全な取扱いとその関係法規及び保健医療領域における
安全管理について

◎診療放射線技師試験の改善事項
 ・出題形式,科目別出題割合等について
◎付録
 ・法令,診療放射技師養成所一覧等



厚生労働省からの通知(Vol.59 No.6)
医薬発第0515002号
平成15年5月15日

都 道 府 県 知 事
各保健所設置市市長 殿
特 別 区 区長

厚生労働省医薬局長

 エックス線装置をエックス線診療室を除く放射線診療室において
使用する特別の理由及び適切な防護措置について

 医療法施行規則第30条の14においては,特別の理由により適切な防護措置を講じた場合にエックス線措置をエックス線診療室を除く放射線診
療室において使用することが認められており,平成13年3 月12日付け医薬発第188号厚生労働省医薬局長通知「医療法施行規則の一部を改正す
る省令の施行について」において,特別の理由及び適切な防護措置を示してきたところである.
 今般,新たな医療技術への対応を図るため,特別の理由及び適切な防護措置について下記の通り改正したので,御了知されるとともに,関係者
に周知方お願いする.

第二(四)1(4)(ウ)の次に次のように加える.
(エ) 診療用放射性同位元素を投与した患者の核医学画像との重ね合わせのためにCT撮影を行う場合.この場合において,上記撮影を行う室の
画壁等は,その外側における実効線量が1 週間につき1 ミリシーベルト以下になるようにしゃへいすることができるものとすること.ただし,そ
の外側が,人が通行し,又は停在することのない場所である画壁等については,この限りでない.また,CT装置を操作する場所は,上記撮影を行
う室の室外に設けられており,画壁等で区画された室であること.ここでいう「操作」とは,エックス線をばくしゃすることであること.
 なお,同時に2 人以上の患者の診療を行うことは認められないこと.



「落下事故!」のお知らせとご注意(H15.4.21) 総務理事

一般単純エックス線撮影装置の管球部分落下

《事故の概要》

15年目の一般撮影用エックス線装置。
撮影体位は膝蓋骨のSun Rise View。
患者側から撮影。
撮影のための管球移動時に管球部分が患者の胸部に突然落下。
胸部打撲と精神的打撃を与える。
撮影技師が管球を支えるも約50キロの重量あり、担当技師は落下時に管球を手で支えたが十分に支えきれずに打撲。
直ちに、患者を管球下から引き出すようにして救出。
原因は管球装置を支えるばねの破損と、安全装置としてのピンのオイル切れによる不完全作動。

《一般的な注意事項と予防策について》

老朽化した医療機器については、予測を超えた故障、事故の発生を見ることがある。
人身事故が起きた場合には、おそらく、装置の製造責任より使用者責任が大きく問われるであろう。
病院側としては保守点検契約を機器メーカーと締結することが必要であろう。
また、 技師による日常的な始業点検を含む保守点検の必要性も今更ながら強調される。
機器メーカーにおいては老朽化装置の定期的な一斉点検が望まれ、同種装置のすみやかな回収も必要かもしれません。
本会としても日本画像医療システム工業会(JIRA)とも早急に対応を検討し、会員にお知らせします。



中華医学会影像技術学会交流会議の報告 学術交流委員会
日中国交30周年記念開催、日中医学会大会2002(11月3〜6日)において中華医学会影像技術学会との交流会議が下記のように開かれました.
日 時: 2002年11月4日(14:00〜17:30)
場 所: 煤炭部総病院(北京市)会議室
出席者: 《日本放射線技術学会》 川村義彦会長,真田茂学術交流委員長
《中華影像技術学会側》 燕樹林 主任委員 秦淮昌副主任委員 賈紹田常務委員,白●常務委員,宋学●常務委員,薛世俊委員,李萌委員(通訳),劉瑞宏(北京放射線技術学会 委員)
(●の部分は,日本語のフォントで表示されない漢字です。ご了承下さい。)
議 題: 両学会の現状と今後の学術交流について
友好的に双方の現状などが説明され,協議の結果,今後とも継続的にさらに具体的な学術交流を行うことが合意されました.



東京都内某病院における過線量照射事故を教訓とした放射線治療施設への勧告  (Vol.58 No.1)

医学放射線物理連絡協議会/日本医学放射線学会
/日本放射線腫瘍学会/日本医学物理学会/日本放射線技術学会

 過日,東京都内某病院の放射線治療において過線量照射事故が発生したことについては,既に報道などで周知のことと思います.
この件については,新たに発足した医学放射線物理連絡協議会で対応を協議し,同種事故の再発防止の観点から日本医学放射線学
会,日本放射線腫瘍学会,日本医学物理学会,並びに日本放射線技術学会の4学会が参加した形の合同調査を企画し,2001年7月
16日当該病院への訪問調査を行いました.
 調査によれば,当該施設の新旧2台のリニアックの治療計画を1台の治療計画装置が受け持つことになったが,治療計画装置に必
要な旧リニアックの基本ビームデータが正しく入力されなかったために,旧リニアックにおいて30度ウェッジ使用の場合に処方線
量の1.35倍に達するまでの過線量照射が行われました.同種事故の再発防止のために放射線治療を実施されている各施設において
は以下に記す事項を励行していただくよう勧告します.

1) 日常の放射線治療に用いている線量評価パラメータを再確認して下さい.また必要があれば適当な線量計を用いた実測を行っ
て確認して下さい.
2) 上記の線量評価パラメータが放射線治療計画用コンピュータに正しく入力されていることについても確認する必要があります.
今一度確認して下さい.
また確認が行われたことの書類は,明らかにしておいて下さい.この種のエラーは目に見えないエラー(latent error)ですので,
治療計画用機器が持っている構造上あるいはプログラム上での問題点を洗い出す形で点検することを要望します.
3) 治療担当の医師および診療放射線技師は,個々の線量計算について習熟しておく必要があります.また二重,三重のチェック
システムを構築して下さい.
4) 医師は治療患者の診療においても,放射線治療による早期反応,晩期反応について十分注意し,適切に対応するとともに,治
療計画や線量の評価に誤りがないことの確認を十分に行って下さい.
5) 放射線診療機器に関係する事故などに関しては,日本医学放射線学会医療事故防止委員会に対しても報告して下さい.
6) 新たに機器を設置する場合は使用者,製造業者双方の立会いのもとに受入れ試験を行い,その記録を残して下さい.

平成13年8月21日
(付記 平成13年11月24日一部修正)

*『東京都内某病院における過線量照射事故の原因及び再発防止策に関する医学放射線物理連絡協議会による調査報告書』

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