大会長挨拶

第49回日本放射線技術学会秋季学術大会
万里一空 -新たな創造の光を放て!

大会長 川田秀道

 
 皆様,こんにちは.第49回秋季学術大会大会長の川田秀道です.本大会は, 2021年10月15日(金)~17日(日)の会期にて熊本市の熊本城ホール+Web(ハイブリッド開催)にて開催いたします。熊本県は,東は阿蘇,西は天草と観光地もたくさんあり,美味しいものも多く,また,熊本市は宮本武蔵が晩年を過ごし,大会テーマである「万里一空」の境地を記したことでも有名な地です.
 昨年はコロナ禍で東京での秋季学術大会が中止になったので,本大会は,待ちに待った2年ぶりの開催です.2020年の初頭から新型コロナウィルスへの対応で世界中が混乱となり、医療現場、教育機関、そして学会でもその影響は甚大であり、未曾有の事態を経験することになりました.今なお新型コロナウィルスには厳重な警戒が必要な状況ですが、新たな学会のあり方をしっかりと考えていく転機となりました。
 本大会は,熊本地震の後に再開発された熊本城ホールで行いますが,秋季学術大会では初の現地開催とWebを併用したハイブリッド開催となっています.ハイブリッド開催の利点は,研究者同士の討論が,同じ時間と空間で行われる現地開催の良さと、24時間どこからでも大会に参加でき,オンデマンドで時間と空間を異にするWeb開催の利便さがあります.
 昨年,九州の地方支部主催の大会は,コロナ禍であったものの対面式開催を成功させました.この時私たちは,人と人とが直接会して発表や意見を討論することの大切さを改めて認識させられました.そして本大会におきましても,一般・テーマ演題合わせて342演題の申し込み(5月26日〆切り時点)があったことは,コロナ禍が続く中でも,日本全国の皆様方がきっと同じ思いを持っていた証かと思います.この場をお借りして,演題登録された皆様並びに関係の皆様方に厚く御礼申し上げます.
 ここで,大会ポスターについてご紹介したいと思います.ポスターに使用している写真は本大会用に一般公募で募集しました.日本全国から75枚の「九州にまた来たいと思う写真」をテーマに募集しました.そのような中,審査では鹿児島市から内之浦ロケット発射場を望み,イプシロンロケット3号機が打ち上げられていく様子を捉えた写真が実行委員会の多くの支持を得て選ばれました.
 天をロケットエンジンの光で照らし出し成層圏へと飛び立つ光跡は,大会テーマである「万里一空 新たな創造の光を放て!」のイメージに最も合う写真と言えます.ポスターをよく見るとロケットの先端が龍の頭、光跡に龍の背びれに見える所があり,龍が天に向かって登っていくように見える大変縁起の良い写真です.今大会の成功とコロナ禍終息の願いをきっと叶えてくれるでしょう.
 このイプシロンロケットは日本の様々な先端技術を結集して製作されたものであり,発射管制はノートパソコン2台で行うことができます.私たちの放射線医療技術も他の様々な分野の技術とともに ”One Team” となって ”One Goal” を目指し,新たな「創造」,「融和」の光を ” brilliant world” に向かって,昇華させていきましょう.
 2016年4月14日熊本大地震の時には熊本城の石垣が崩落する等、震災の大きな爪痕を残しました.しかし5年間に渡る長い修復作業を得て,本年,天守閣の修理まで完了しました.鉄骨の足場や補強が取りかれた天守閣は,皆が待ち望んだ壮大な雄姿を再び日本全国に映し出しています.熊本城は会場の近くなので,時間が許せば是非足を運んでご覧になっていただきたいと思います.
 この石垣の修復作業には,医療の現場でも使用され始め,学会でも様々な分野で大きなトピックスとなっているAIが使用されています.本大会の特別講演に熊本大学工学部情報電気工学科の上瀧 剛先生にご講演いただくよう企画しておりますので,この修復技術に関する支援および医工連系について興味あるお話が聴けると思います.
 今大会においても,各専門部会,代表理事直轄委員会,常置委員会から様々なテーマで講座やシンポジウムが企画されています.これらは実に2年越しに暖められた企画であり,ハイブリッドの利点を生かし,会場でもオンデマンドでも多くのご参加をお願いいたします.
 最終日には各専門分野の部会長が一同に集まり,Covid-19感染症をテーマに,それぞれの専門技術がどのように医療の現場に貢献しているか,海外からも講師を招聘してシンポジウムを行います.日本のみならず海外のCovid-19感染症の動向を知ることができ,専門部会長が一つの会場に集合し討論します.現地参加ができない皆様にもWeb閲覧ができるようにWeb閲覧期間を10月31日までとしておりますので,なかなかお目にかかれない,またとない機会を是非ともお見逃しすることが無いようにお願いいたします.
 秋季学会開催期間中は,現地参加の皆様は日常の喧騒から離れて学会と熊本の街を全集中で楽しんで下さい.また,Web参加の皆様は,自由な時間でじっくりと発表,質疑応答,各専門部会や委員会のシンポジウム等を通じて最新の知見に触れていただければと思います.そして明日からの研究や診療にモチベーションを上げて取り組んでいただければ幸いです.実行委員一同,心より皆様のご参加をお待ちしております.