2025年9月20日(土),21日(日)の2日間にわたり,中部支部の共催のもと,JPタワー名古屋5階 ミッドタウンクリニック名駅 会議室にて,第10回CT応用セミナーを開催しました.本セミナーは,CT画像計測法の理解と習得に加え,学術発表から論文化に至るまでの方法論の理解を目的として開催しています.
第9回よりプログラムの見直しを行い,CT画質評価の理解を一層深めるために「概論」の講義を新たに追加しました.これにより,CT画像の画質評価の基礎から最新の評価手法,評価手順および注意点までを体系的に学ぶ構成とし,実際にPCを用いた計測演習も実施しました.画質計測演習では,Task Transfer Function(TTF),Noise Power Spectrum(NPS),System Performance(SP)に加え,Detectability Index(d’)の計測を行いました.さらに,CT検査における被ばくの最新動向,プレゼンテーション技術論,論文化に向けた方法論の講義を含め,学術研究に必要な基礎から応用までを網羅した充実したプログラム構成としました.
セミナーの内容と受講生からの質問事項
CT画像の画質評価概論
CT画像評価の概論として,空間分解能,ノイズ,CNR,SNR,SPF,低コントラスト検出能,Detectability index ( d’),スライス厚(SSP MTF Z),時間分解能の解説と,結果の評価方法について講義が行われた.
受講生からの主な質問
・MTF測定は線形性が保たれていることが前提と言われているが,逐次近似再構成画像やDLRなどの非線形画像に用いることは数学的に間違いではないのか.
CT画像の画質評価【Basic】 線形画像の評価
CT画像の画像計測(MTF,SD,NPS,CNR,SP)の理論を基本原理から詳しく講義が行われた.
受講生からの主な質問
・5%もしくは10%MTFの値が同じ場合は,解像特性は同じととらえて良いのか.
・NPSを測定してグラフの低周波側が跳ね上がってしまうの理由は何か.
・SPFの評価方法について,線形画像で再構成関数の違いよる変化を評価することの意味は.
・SPFのグラフで高周波側が上がってしまう理由は.
CT画像の画質評価【Advance】 非線形画像の評価
逐次近似再構成法の画像再構成法,非線形画像の特徴,非線形画像の画質評価(TTFを含む)について講義が行われた.
受講生からの主な質問
・TTFのコントラスト差はどのくらいまで測定可能なのか.
・TTFを計測するためのファントムを作成する時に,水を希釈造影剤に置き換えても良いのか?
CT画像の画質評価最前線(含む,Photon counting CT)
タスクベースの画質評価(スライス厚を含む),1mmのヨードワイヤーの解像特性の評価方法(装置間の違いを含む),不均一ファントムを用いたノイズ評価,photon counting CTの画質特性について講義が行われた.
画像評価演習(PCを用いた計測演習)
線形画像の画像計測として,仮想スリット法によるMTF測定,Radial NPSの測定を行い,SNRの算出を行った.引き続き,非線形画像の画像計測としてACRファントムを用いて,Circular Edge法によるMTF測定,NPS測定を行い,detectability indexの算出を行った.
CT検査被ばくに関する最新動向
CT検査の線量評価値について,IEC,JIS規格の最新情報(SSDEを含む)について,講義が行われた.
受講生からの主な質問
・ビーム幅56 mmのCT装置のCTDIの測定法はどうすればよいか,CTDIfree airを測定するときの電離箱の有効長は何mmを用いれば良いのか.
プレゼンテーション技術論
具体的な例(悪い例,良い例)を挙げながら,プレゼンテーション作成手法 (フォント,行数,行間,表組,グラフなど)について解説した.
受講生からの主な質問
・共同演者の書く順番に決まりはあるか
・「使用機器スライドからの脱却」とはどういう意図か
・グラフの凡例は矢印で示すべきと話があったが,8本が重なり合うようなグラフでは,のように凡例を示すべきかすべきか?
CT研究論文における方法論
論文を書く意義,論文を書くための基本的なルール,検索方法などを詳細に解説した.
画像計測に関する講義では,金沢大学の市川勝弘先生,北海道科学大学の佐藤先生に,十分な時間をかけて丁寧にご解説いただきました.また,参加者からの質問に対しても詳細かつ的確にご回答いただきました.対面開催であったことから,受講生の理解度や反応を確認しながら進めていただけた点も,理解促進に大きく寄与したものと考えます.
受講後アンケートでは,「期待以上の内容であった」が85%,「期待通りの内容であった」が15%と,非常に高い満足度が得られ,本セミナーの内容が高く評価されたものと考えています.講師の先生方,中部支部の関係者の皆様,ならびに熱心に受講してくださった参加者の皆様に,心より感謝申し上げます.
これまで多くの皆様のご支援のもと開催してまいりました「CT応用セミナー」は,第10回をもって終了となります.撮影部会CT分科会では,2008年より「CT計測セミナー」を,2016年からは画像計測技術の進歩に対応するため「CT応用セミナー」を企画し,CT画像計測に関する講義および計測演習を18年間継続して実施してきました.これらの取り組みを通じて,CT画像計測法の習得に大きく貢献し,学術研究の質の向上に寄与できたものと考えています.この場をお借りして,セミナーの企画にご尽力いただきました元撮影部会委員の梁川範幸先生,村松禎久先生,井田義弘先生,ならびに講師をお引き受けいただいた多くの先生方に,深く御礼申し上げます.
次年度以降のセミナー開催につきましては,教育委員会を中心に企画・運営が行われる予定です.撮影部会としても,会員の皆様にとって有益なセミナーとなるよう,教育委員会へ積極的に意見を述べてまいります.今後とも撮影部会の活動にご支援を賜りますよう,何卒よろしくお願い申し上げます.
報告者:高木 卓 (撮影部会長,CT分科会長)



