『国民衛生の動向』(一般財団法人厚生労働統計協会編『厚生の指標』増刊)によれば,慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)は平成22年度(2010年度)以降,死因の第9位に位置しています.COPDによる死亡総数は増加傾向にあり,2010年度には16,000人を超えます.厚生労働省による医療諸統計は,医療行政の基礎資料を得る目的で実施されており,医師の診断した疾病に基づく調査で,対象患者から推定される日本人のCOPD有病率は0.2~0.4%となっていますが,一方,住民調査による大規模なCOPD疫学調査,NICE study (Nippon COPD Epidemiology) では,スパイロメトリー(呼吸機能検査)で40歳以上の10.9%に気流閉塞が認められ,喘息を除くと日本人のCOPD有病率は8.6%と推測されます.この結果はCOPD患者が見過ごされている現状が浮き彫りにされ40歳以上で530万人,70歳以上では210万人が罹患していると考えられています.
  「COPDとは,タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患である.呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す.気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に作用することで起こり進行性である.臨床的には徐々に生じる体動時の呼吸困難や慢性の咳,痰を特徴とする.」(COPD診断と治療のためのガイドライン 第3版からの定義抜粋)
 日本名におけるCOPDは通称「たばこ病」であり,COPD患者の約90%には喫煙歴があり,COPDによる死亡率は非喫煙者に比べて喫煙者は10倍高くなります.
 本シンポジウムは,一般市民を対象としてCOPDの病態解明について詳細に解説し,禁煙の大切さを再認識していただきます.基調講演としてCOPDの診断と治療について総括的にお話ししていただきます.COPDは身近な病気でありますが,なかなか理解し難い疾患であるため一般市民に分かりやすく解説していただきます.次にCOPDの診断と治療について実務として携わっている講師にワークショップ方式で講演していただきます.シンポジウムの最後には総合質疑応答の時間を設けて会場からのご質問にできる限り回答します.
 本シンポジウムがCOPDへの理解を深め,禁煙の重要性について再認識していただく契機となることを切望するとともに,市民の皆さまの健康維持に貢献できれば幸いです.多くの市民の皆様のご参加をお待ちしています.

日時 平成26年12月13日(土) 13:30~16:30
会場 メルパルク京都
〒600-8216 京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13  TEL 075-352-7444(代)
参加費 無料
事前申込 不要
プログラム 司会:本郷 隆治(京都桂病院), 錦  成郎(天理よろづ相談所病院)
   
1. 基調講演  
  「肺の生活習慣病COPDとは?」
 
千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学 教授 巽 浩一郎
2. シンポジウム  
 
1) 「あなたの肺年齢をご存じですか?」
 
京都桂病院 検査科 青木由美子
2) 「COPD診断においてCTは何故必要か?」
 
東千葉メディカルセンター 梁川 範幸
3) 「COPD患者に対する禁煙指導の実際」
 
滋賀医科大学 医学部看護学科 森本 明子
4) 「COPD患者に対する呼吸リハビリについて」
 
京都桂病院 リハビリセンター 藤川 紀子
3. 総合質疑・応答  
後援 京都府,京都市,京都府医師会,京都私立病院協会,京都府放射線技師会,京都府看護協会,京都府栄養士会,京都府臨床検査技師会,京都府介護支援専門員会,KBS京都,京都リビング新聞社,京都新聞
連絡先 公益社団法人 日本放射線技術学会 事務局
TEL 075-354-8989  FAX 075-352-2556-2556

h26_1213poster_m

2014年10月16日公開