国際放射線防護委員会から「妊娠と医療放射線」と題したものが出版されています。医療を受ける方々には大変関心のあるテーマであると考えられ、出版の主旨も医療人や一般の方々へこれに関する情報を広く普及することにありますので、この要旨を含めて妊娠と医療での放射線による影響についてご説明します。
以前某全国紙において、妊娠に気づかずに腹部X線CT検査を行い、そのために中絶手術を行った事例が報道されました。この記事は放射線防護の分野ではちょっとした話題となりましたが、放射線被ばくとその影響について正当に理解していれば、これが中絶に値するレベルの放射線被ばくでないことは明らかであり、言うなれば不必要な中絶がなされたものと評価されています。
こういった不幸な事例をなくすためにも、是非以下の事をご理解していただければと思います。
以上、かいつまんで簡単に概要を述べました。この記述での基本的な考えは、やみくもに放射線検査の安全性を強調し、妊娠中の患者さんに検査の適応を増長させることが目的ではなく、(もちろんしないに越したことはないのですが)必要に迫られて行う妊娠中の放射線検査の際、そして妊娠と気づかずに放射線検査を受けてしまった患者さんに、必要な知識を普及することにあります。
引用:“妊娠と医療放射線”総合病院 国保旭中央病院 妊娠と医療放射線 放射線科 五十嵐隆元
http://www.hospital.asahi.chiba.jp/medical_information/radiology/file-001.html