各病院では医療安全の教育としてKYT(危険予知トレーニング)を導入していますが,放射線診療分野ではほとんど導入されていません。この原因はKYTの場面画像を各病院で作成できないことがあげられます。
 また,教育現場では医療安全を教授しなければなりませんが,その資料がないのが現状です。そこで,2022-2023年度の学術研究班活動として,医療施設や教育施設で医療安全教育に利用可能なKYT場面画像のデータベースを構築しました。また,データベースの有用性をFROC観察者実験で検証し,有用性の詳細は論文で報告予定です.

データベースは,下記の3つの内容に分けています.

1.KYTトレーニング資料
2.教育用資料
3.KYT場面画像

それぞれの資料を説明します.

1.KYTトレーニング資料:( )はシーン数


一般撮影(9),MRI(3),CT(1),アンギオ(1),核医学(1),放射線治療(1),病棟ポータブル(1)

 構成は,「設問」「解答」「ポイント説明」の順となります. 
各スライドの右側に検査(治療)の一連の流れが記載されており,赤字が現スライドの状況を示しています. 
「設問」スライドで,状況を確認し,危険(不適切)な箇所,言動,考えを探して下さい. 
「解答」スライドに,危険(不適切)な箇所を赤丸で示します. 
  ただし,この赤丸箇所は,学術班(橋田班)の判断(意見)を示したものです.ご自分達の判断でも構いません. 
 「ポイント」スライドで,安全を確保するためのポイント(留意点)等を示します. 
 「解答」と「ポイント」を1つのスライドで示す場合もあります. 
 一般撮影とMRIでは,異なった状況(複数シーン)があります. 

トレーニング資料のリンク

 

2.教育用資料(自主学習用)

 医療安全での危険予知能力の向上を目指して,自主学習用に,音声(解説)付きスライドを作成しています.「イントロ・一般撮影:音声38分」「CT・MRI:音声31分」「アンギオ・RI・治療・ポータブル:音声20分」の3部構成なっており,KYTトレーニング資料の内容も網羅しています.

動画①イントロ・一般撮影
https://youtu.be/6rE7wB0ezYY

動画②CT・MRI
https://youtu.be/XuDU2frua_s

動画③アンギオ・RI・治療・ポータブル
https://youtu.be/ikDOxjN73T0

3.KYT場面画像(ご自由にお使い下さい)

 
各部門(一般撮影,CT,MRI,アンギオ,核医学,放射線治療,ポータブル)で,「安全」と「危険箇所アリ」の状況を,1枚ずつの画像で作成しています.安全と危険の判断や危険箇所(赤丸)は学術班(橋田班)が決めたものですが,ご自分達で判断されても構いません.

 KYT場面画像の使い方は自由ですが,下記の使用方法もあります.
・任意の場面画像を使って,KYTを実施する.
・任意の場面画像を使って,スタッフが画像を閲覧し,危険箇所の発見率を検討する.
・病院で,安全教育(再発防止策)の実施の前後に,場面画像を観察し,危険箇所の発見率の向上等により,安全教育の効果を検討する.

*画像の使用上での注意
画像の出どころ(作成者)を明確にするため,「JSRT学術研究班 2023橋田班」の明記をお願いします.
多くの皆様が,医療安全の向上のために,本データベースを活用されることを願っています.
場面画像のリンク