世界保健機関(WHO)の「2012年世界保健統計」では,2008年の世界の総死亡数の63%にあたる3,600万人が,脳卒中やがん,心疾患,糖尿病,高血圧症,動脈硬化などの「生活習慣病」が原因で死亡しているとしています.生活習慣病は中年~高齢者の間で急増しており,2030年までに,生活習慣病による死亡数が5,500万に増加し,そのうち心疾患による年間死亡数は2,500万人に増加するとWHOは予測しています.わが国では,厚生労働省発表の「平成22年 人口動態統計の概況」による年間の死亡総数のうち,心疾患(高血圧性を除く)は189,360人で15.8%を占めており,がんに続き第2位となっています.このうち急性心筋梗塞を含む虚血性疾患は77,217人で心疾患全体の40.8%を占めています.このように虚血性心疾患は,国民にとって早期発見と治療ならびに予防対策が重要な疾患の一つと考えられます.
 本シンポジウムは,一般市民を対象として虚血性心疾患のうち狭心症に注目して,早期発見のための検査,低侵襲な治療ならびに予防についての解説を行います.基調講演として狭心症を含む虚血性心疾患の概要を解説するとともに,比較的侵襲の軽微な治療法の一つである経皮的冠動脈形成術(PCI)について,実際の方法を交えながら分かりやすく解説した後で,各分野の専門家によるシンポジウムを開催します.最初に,心臓カテーテル検査における放射線被ばくを取り上げます.検査・治療時の被ばくの程度と低減技術を紹介して,放射線についての正しい知識をふまえて上手に利用することの大切さを理解してもらいます.続いて,心臓カテーテル検査チームの主要な一員である看護師の立場で,安心して検査を受けてもらうための取り組みについて説明します.さらに,主に冠状動脈の異常な血管を見つける目的で行う造影剤を使った心臓CT検査の実際について解説します.最後に,狭心症に罹らないための生活習慣の改善方法について具体的に解説します.シンポジウムの最後には,総合質疑応答の時間を設けて会場からのご質問にできる限り回答します.
 本シンポジウムが,狭心症への理解を深め,生活習慣改善の契機となることを切望するとともに,市民の皆さまの健康維持に貢献できれば幸いです.多くの市民の皆様のご参加をお待ちしています.

日時 平成25年12月7日(土) 13:30~16:30
会場 メルパルク京都
〒600-8216 京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13  TEL 075-352-7444(代)
参加費 無料
事前申込 不要
プログラム 司会:本郷 隆治(京都桂病院),錦  成郎(天理よろづ相談所病院)
   
1. 基調講演「経皮的冠動脈形成術(PCI)の最前線」
 
京都桂病院心臓血管センター 中村  茂
2. シンポジウム
 
1) 心臓カテーテル検査における放射線被ばくについて
 
兵庫医科大学病院 前田 勝彦
2) 心臓カテーテル検査における看護ケア
 
京都桂病院 濱田 富子
3) 冠状動脈を観る -心臓CT検査の役割-
 
東千葉メディカルセンター 梁川 範幸
4) あなたの心臓の血管,大丈夫? ~食・生活習慣がカギをにぎる~
 
神戸大学医学部附属病院 戸田 明代
3. 総合質疑・応答
後援 京都府,京都市,京都府医師会,京都私立病院協会,京都府放射線技師会,京都府看護協会,京都府栄養士会,京都府臨床検査技師会,京都府介護支援専門員会,KBS京都,京都リビング新聞社,京都新聞社
連絡先 公益社団法人 日本放射線技術学会事務局
TEL 075-354-8989 FAX 075-352-2556


ポスター(PDF

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