平成27年4月20日    
平成27年4月21日一部改訂

 現在、医療放射線防護関連学会・国立機関・大学・職能団体・医療施設・行政機関等の協力のもとで医療被ばく研究情報ネットワーク(以下、J-RIME)が設立され、参加団体の協働により、医療被ばくの最適化に関する国際的な手段である診断参考レベル(以下、DRL)の値が、代表的なX線診断、診断核医学の検査(撮影)ごとに提案されました。
 JRC2015会期中の4月18日にJ-RIME総会が開催され、J-RIMEが提案するDRL案が承認され、今後各参加団体による承認が得られた後、我が国のDRLとして正式に公開されることが決まりました。また、J-RIME総会の取材に基づいて、4月19日付の新聞1面に我が国のDRLに関する記事が掲載されました。
 ところが、当該記事にはいくつかの誤りがあり、翌4月20日において訂正記事が掲出されました。しかし、訂正記事が目に入らなかった診療科の医師や患者からの問合せ等も来ているかと推察されますので、ここで改めて整理します。各医療施設においても問合せの対応に向け、ご周知・ご理解をお願いいたします。

 当該の紙面において、「放射線検査(成人の臓器の被ばく線量目安)の新基準例として成人CT検査:頭部1350mGy 胸部550mGy、小児CT検査(1~5歳):頭部660mGy 胸部300mGy」と記載されています。
 今回のDRL案では、CTDIvolとDLPを併記する方針で作業が行われておりますが、当該紙面ではCTDIvolやDLP ではなく、「臓器の被曝線量目安」とされ、その数値としてDLPの値を掲載されています。しかし、本来のDLPの単位であるmGy・cmではなくmGyという単位で記されていることから、CTDIvolや臓器吸収線量と混同される可能性があります。
 紙面に掲載されたDLPを正しく記載しますと、成人CT検査:頭部1350 mGy・cm 胸部550 mGy・cm、小児CT検査(1~5歳):頭部660 mGy・cm 胸部300 mGy・cmとなります。
 さらに欄外の注釈に「1 mGyは1 mSvに相当」という記述がありますが、訂正記事ではこの記述は削除されています。また、等価線量を実効線量と認識してしまう可能性もあります。これらから、頭部CT検査で1350 mSv、つまり1 Svの実効線量を越える被ばくをするものと誤解される可能性もあります。ちなみに、成人、頭部CT検査のDLP値(1350 mGy・cm)を、ICRP102のk factor(0.0021)を使って計算すると、実効線量*は2.8 mSvとなります。

 上記につきまして、ご理解の上対応いただければ幸いに存じます。

*実効線量は、人体等価ファントムと線量計を用いて計算する方法や、WAZA-ARIやCT-Expoなどのシミレーションソフトを利用して求めることもできます。