我が国において日本人の死亡理由の上位は,平成11年では悪性新生物,心疾患,脳血管疾患のいわゆる三大成人病と呼ばれる疾患であり,それらのみで59.2%(平成11年人口動態統計(確定数)の概況<厚生労働省>)を占めていました.そのため,平成12年に厚生労働省は「健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)」を打ち出し,集団検診による早期発見,早期治療の体制が整えられてきました.平成25年には日本人の死亡理由の上位は,悪性新生物,心疾患,肺炎,脳血管疾患であり,三大成人病だけで全体の53.6%(平成25年人口動態統計(確定数)の概況<厚生労働省>)を占めています.また,心疾患,脳血管疾患合わせて悪性新生物28.8%とほぼ同等の24.8%を占めています.心疾患,脳血管疾患の2つを含む循環器疾患は,糖尿病,高血圧,脂質異常症等の生活習慣病に起因すると言われており,平成25年から厚生労働省は「健康日本21(第二次)(二十一世紀における第二次国民健康づくり運動)」を推進し,虚血性心疾患と脳血管疾患の死亡率の減少を目的として,糖尿病,高血圧,脂質異常症に加えて喫煙も含めた4つの危険因子の管理を中心として展開されています.
現在では,この4つの危険因子が密接に関与して動脈硬化を起こし,全身の動脈硬化を反映しているといわれている頸動脈壁の内膜中膜混合体厚(IMT; intima-media thickness)の肥厚やプラークの存在や性状の情報を簡便かつ非侵襲的に得ることができる頸動脈エコーが広く実施されています.循環器疾患に対する検診項目となっている頸動脈エコーを施行することにより,頸動脈の早期の変化を知ることができ,さらには虚血性心疾患および脳血管疾患の発症をある程度予知することも可能です.頸動脈エコーによる早期発見が,さらなるMRI検査,CT検査,血管造影検査等の精密検査につながり,早期の頸動脈内膜剥離術(CEA; carotid endarterectomy),頸動脈ステント留置術(CAS; carotid artery stenting)等の治療が施されることにより,国民の生命を救うことができるようになりました.
本シンポジウムにより,一般市民に悪性新生物と日本人死亡理由の1,2位を競う循環器疾患の原因となる動脈硬化について知っていただき,頸動脈疾患の予防,検診方法,さらに精密検査方法,最終的な治療までを正しく理解していただくことでより多くの市民に進んで検診を受けご自身の健康を維持する認識を持っていただきたいと考えます.
プログラムは4部構成とし,第1部では「動脈硬化を知ろう!」と題して,一般市民に,動脈硬化の成り立ち,動脈硬化が進むことによって頸動脈の血管壁が厚くなり,さらにはプラークが形成される過程,ならびに食事等による予防について専門の医師よりわかりやすく解説します.第2部では「頸動脈の検査って,どんなことをするの?」として,実際の頸動脈エコー,疾患を見つけた時の二次検査(精密検査)への病診連携,さらに精密検査(CT,MRI,X線血管撮影,核医学)の内容と,どのような検査が施行されているかを現場の診療放射線技師からわかりやすく解説します.第3部では「頸動脈疾患の治療法を教えて?」として,現在,頸動脈疾患に対してどのような治療・手術が施行されていて,それにはどのような改善が期待されるか,どのようなリスクが存在するか,などについて,第一線の脳神経外科医からわかりやすく解説します.シンポジウムの最後には,第4部として総合質疑応答の時間を設けて会場からのご質問にできる限り回答します.
脳血管疾患や虚血性心疾患をはじめとする循環器疾患に関してはある程度認識があっても,頸動脈が全身の動脈硬化を反映していること,頸動脈に対してどのような検査が行われ,どのような治療法が施されているかを正しく理解している一般市民は多くありません.この企画では一般市民にこれらのことを知っていただき,積極的に予防,検診のアクションを起こしていいただく機会としたいと考えます.多くの市民の皆様のご参加をお待ちしています.
日時 | : | 平成28年11月20日(日) 13:30~16:30 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
会場 | : | メルパルク京都 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
〒600-8216 京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13 TEL 075-352-7444(代) |
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参加費 | : | 無料 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
事前申込 | : | 不要 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プログラム | : | 司会:菊元 力也(洛和会音羽病院), 松原 馨(朝日新聞東京本社診療所) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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後援 | : | 京都府,京都市,京都府医師会,京都私立病院協会,京都府放射線技師会,京都府看護協会,京都府栄養士会,京都府臨床検査技師会,京都府介護支援専門員会,KBS京都,京都リビング新聞社,京都新聞(予定含む) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
連絡先 | : | 公益社団法人 日本放射線技術学会 事務局 TEL 075-354-8989 FAX 075-352-2556 |
ポスター(PDF)