変形性膝関節症は生活習慣病であり,その発症には遺伝的側面もあるといわれていますが,おもに中高年以後の生活,運動,肥満,筋力低下などの結果が大きく作用するとされています.厚生労働省の最新の資料では,平成19年8月に「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会」の報告において,国内での変形性膝関節症患者数を,自覚症状を有する患者数で約1.000万人,潜在的な患者数(X線診断による患者数)で約3.000万人と推定しています.したがって,現在数多くの国民が膝の痛みについて悩んでいる,あるいはこれから悩むであろうことが予測されます.
この疾病は,関節の変形や運動痛,可動域制限等により起立や歩行に大きな影響を与えるため,QOLを著しく低下させます.また,疾病からくる制約で行動範囲が狭まることによって起こる「うつ」,「痴呆」等の精神疾患を誘発することもあり,寝たきりの要因にもなります.厚生労働省の2004年度国民生活調査によると,要介護となる原因の6.1%が関節症で第4位.要支援の原因としては17.5%を占め,疾病の中では最も多い現状があります.このため,高齢者のQOLを維持する上で,変形性膝関節症をはじめとする関節症の予防が重要な課題になると考えます.
高齢者割合が増加する社会構造の変化を迎えて,自分の人生を設計するという観点から,疾患に対しての正しい知識と治療法の選択が必要であると考え,公益事業の一環として一般市民が無料で参加できるオープンなシンポジウムを企画しました.
本シンポジウムでは,股関節をも含めた下肢関節の変性疾患という病気を分かりやすく解説した後,診断から治療,社会復帰にいたるまでのプロセスに対して,それぞれ専門の立場から詳しく説明したいと考えています.本シンポジウムが市民の本疾病に対する意識向上の契機となるとともに,多くの方々が有意義なセカンドライフを過ごしていただける一助になるようなシンポジウムを提供したいと考えています.多くの市民の皆様の参加をお待ちしています.

 

日時 平成22年12月5日(日) 14:00〜16:30
会場 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 大会議室
〒604-0874 京都市中京区竹屋町通烏丸東入清水町375  TEL 075-222-1777
参加費 無料
事前申込 不要
プログラム
司会 本郷 隆治,錦  成郎
 
1.基調講演「あなたの一歩を支えるために」
京都桂病院 藤田  裕
    2.シンポジウム
   
1)膝関節の変性疾患のX線写真と撮影技術  
 
奈良県立医科大学附属病院 安藤 英次
  2)膝関節の変性疾患のMRI検査
京都市立病院 小倉 明夫
  3)下肢関節の変性疾患に対する効果的なリハビリテーション
 
京都大学大学院 建内 宏重
  4)骨粗鬆症にならないための食生活のこつ(15分)  
 
滋賀医科大学医学部附属病院 岩川 裕美
    3.総合質疑・応答
後援 京都府,京都市,京都府医師会,京都私立病院協会,京都府放射線技師会,京都府看護協会,京都府臨床検査技師会,京都府栄養士会,京都府介護支援専門員会,京都府理学療法士会,KBS京都,京都新聞社
連絡先 (社)日本放射線技術学会事務局  TEL 075-354-8989  FAX 075-352-2556