ROC(receiver operating characteristic)解析は,新しい装置や検査手法における診断の正確さの評価を目的として,世界中でもっとも多く用いられている評価法です.しかしながら,非常に数多くの研究でROC解析が用いられているにも関わらず,これまで,医用画像におけるROC解析を詳細に解説した成書はありませんでした.そのため,ROC実験を計画しようとする研究者は,過去に発表されたROC実験を含む論文で用いられた方法を参考にして,自分たちの研究に応用していたのですが,ROC解析の実験計画は,その目的や対象によって大きく変化し,ROC解析そのものを正しく理解していなければ,せっかくの努力が報われない場合が生じます.そこで,こういった世界中の研究者の要望を受け,ICRU(国際放射線単位測定委員会)がDr.KundelをはじめとするROC解析における専門家を集め,ICRUレポート79「Receiver Operating Characteristic Analysis in Medical Imaging」を2008年に発刊しました.
 本書は,このICRUレポート79の日本語翻訳版で,できるだけオリジナルに忠実にレポートに記載されている内容を表現しています.本書にはROC解析の基礎から実践までが,初学者でも理解しやすいように書かれてあり,ROCソフトウエアについての解説も示されています.これからROC解析を含む研究を始めようとしている人や,ROC解析のことをもっと理解したいと考えている人など,是非,多くの方々にご利用いただければと思います.

書名 放射線医療技術学叢書(30) ICRUレポート79 日本語翻訳「医用画像のROC解析」
企画 画像分科会
頒布価格 1.500円(送料学会負担),A4版,本文58頁
この叢書は,関連する企業の協賛をいただき,その広告料をもって頒布価格を安くすることができました.
主要内容
第1章 はじめに
第2章 ROC判断決定モデル
第3章 従来法におけるROC方法論
第4章 ROC解析の結果の普遍化
第5章 ROC方法論の拡張:LROC,FROC,そしてAFROC
第6章 統計解析と統計的検出力の推定
第7章 ROC研究計画において実施上考慮すべき事項
発売日 平成24年3月下旬発売予定
購入方法 本会ホームページ”出版物” よりお申込みください.
問合先 学会事務局書籍担当  E-mail blaetter@jsrt.or.jp