今日乳がんは,日本人女性の11人に1人が患うと言われ,非常に身近な病気となってきました.日本の食生活が欧米化してきたために,以前は少なかった乳がんの罹患率が上がってきて,日本人女性が最も患うがんであり,乳がんで亡くなる女性は,35年前の約3倍に達しており,年々増加傾向にあります.胃がんや大腸がんの検診は,定着しつつありますが,乳がんの検診においては,未だに受診率が少なく,他国に比べても低い現状です.
 また,年齢別に見ると,30歳代から増え始め,40歳代後半から50歳代が最も多く,比較的若い世代が多くなっています.国立がん研究センターのがん情報サービスのデータでは女性の全がん患者の5年生存率は66%ですが,乳がんにおいては91%を超えており,乳がんは治る病気になっていることを示しています.検診受診者数が増えれば,5年生存率も増加する可能性があると言えるのです.乳腺に異常を感じても,すぐに外来受診をせずに,治療自体が遅れるケースも決して少なくありません.
 この市民公開シンポジウムを通して,乳がんに関する正しい知識の普及と,予防,発見,外科的治療に関する各検査の役割を把握することで,乳がんに対する認識を今まで以上に高めてもらい,画像の専門家が各検査に対する不安や疑問を取り除くことにより,安心して検査を受けていただき,早期発見,早期治療への一助になることができると思います.
 昨年,診療放射線技師が主人公となったテレビドラマが反響を呼び,診療放射線技師の役割に興味を持っている中高生の方々にも参加していただき,シンポジウムで学んだことを帰宅して母親に「乳がん」の早期発見に必要な“検診の受診”を勧めてもらうことで,今後の受診率向上が期待できます.
 また,乳がんを熟知した診療放射線技師が画像を医師に提供するだけでなく,撮影時の被ばくを低減する,安心かつ安全に配慮した検査を行う,これらの“技術”は患者一人一人にとって大変有益であり,健康に大きく貢献していることも理解して欲しいと思っています.
 乳がんに対する知識を身に着けていただき,まずは乳がん検診者の方々やご家族を含めて,広く浸透する契機となることを切望するとともに,市民の皆様の放射線業務に関する知識の理解に貢献できれば幸いです.
 数多くの市民の皆様のご参加を心よりお待ちしています.

 

日時 2020年11月22日(日) 13:30~16:30(予定)
会場 メルパルク京都
    〒600-8216 京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
TEL 075-352-7444(代)
参加費 無料  
事前申込 不要(新型コロナウイルス感染予防対策のため60名で入室制限をさせていただきます.)  
プログラム 司会 中前光弘(りんくう総合医療センター),菊元力也(洛和会音羽病院)
   
1.基調講演
  乳がんの発見から治療まで ~乳がんは治る!~
  市立吹田市民病院 渡邉 法之
2.シンポジウム
  1)マンモグラフィって痛くないの? ~痛みも被ばくも軽減できる撮影技術~
  順天堂大学医学部附属静岡病院 中村登紀子
  2)超音波検査って大丈夫なの? ~病変を見落とさない撮像技術~
  大垣市民病院 澤  幸子
  3)MRI検査のあれこれ? ~最新技術を駆使した撮像方法~
  第二大阪警察病院 野原百合子
  4)PET検査ってなに? ~検査の概要と乳房専用装置~
  MIクリニック 桃井 理紗
3.総合質疑・応答
   
後援 京都府,京都市,京都府医師会,京都私立病院協会,京都府放射線技師会,京都府看護協会,京都府栄養士会,京都府臨床検査技師会,京都府介護支援専門員会,KBS京都,京都リビング新聞社,京都新聞,NHK京都放送局
連絡先 公益社団法人 日本放射線技術学会 事務局 
TEL 075-354-8989  FAX 075-352-2556