プログラム委員会では,魅力ある学会発表を促進する観点から学術大会において「テーマ」を設け,その趣旨に見合った演題の募集をおこなっています.採択された演題は,一般演題発表に比べ十分な発表時間(10分)と質疑応答の時間(5分)を設け,会員間の意見交換ができる構成にしています.
第49回秋季学術大会では,下記3つのテーマを設定します.モダリティやジャンルを超えた研究成果の発表の場となりますよう,奮ってご応募ください.なお,詳細な募集要項については,3月号に掲載予定です.

テーマ1:「血流評価」

 血流評価は,血管造影,CT,MRI,超音波などの放射線画像を用いて,物理学の一分野である数値流体力学を用いた血流シミュレーションにより,治療の計画,術中の評価や治療後の予測ができるようになり,特に心疾患,脳血管疾患においては,盛んにおこなわれるようになりました.

 これらの血流評価を高い精度で行うためには,多岐にわたるモダリティの高い画像撮像技術やシミュレーション技術が不可欠です.それらの成果を持ち寄り,本テーマ演題を通して,この分野の発展につながる活発な討論ができるセッションになることを期待しています.皆様からのたくさんの演題登録をお願いします.

テーマ2:「小児」

小児の病気やけがを診断するため,放射線を用いた画像診断をおこなうことへの臨床的有用性は疑う余地がありません.しかし小児は特定の種類のがんの発症に対して成人よりも感受性が高く,放射線で誘発される長期的影響を来たすほど長い余命を有しています.そのため小児の画像診断では確率的影響のリスクが懸念されており,小児画像診断では成人以上に医療被ばくの正当化,最適化の実践が強く求められます.
本テーマ演題では小児放射線検査の正当化,最適化への取り組みや検査に関する様々な工夫など,モダリティの枠を超えて演題を募集し,小児の放射線技術について幅広く議論をおこなう場を提供したいと考えております.

テーマ3:「医療安全」

 医療技術の高度化に伴い,各医療機関では医療安全管理体制の整備や,医療機器などに対する安全対策が講じられています.国民の社会的関心が高まる契機となった1999年に起きた医療事故から20年以上が経過した現在においても,医療従事者は,安全な医療を目指して改善の努力を積み重ねています.臨床現場においては,インシデント分析,ヒューマンエラーへの対策,安全な医療を目指したシステム構築,法改正への対応,感染症対策,安全文化の醸成,医療安全教育など,医療安全に関する様々な課題を見つけ,対応策や解決策が検討されているのではないでしょうか.
本テーマ演題では,医療放射線の安全利用,水晶体の等価線量改正への対応,ヒューマンエラー対策,COVID-19を含む感染予防対策など,医療安全に関するテーマ演題を幅広く募集することになりました.会員の皆さまからの多くの演題登録をお待ちしております.