RPT誌創設の時から編集委員長として活躍されていました土井邦雄先生は,7月15日をもって退任されました.今後はRPT誌特別編集員として引き続きお願いしています.新任の先生は,量子科学技術研究開発機構の兼松伸幸先生です.兼松先生はRPT誌創設時から編集委員を務めています.新任の兼松伸幸先生,退任される土井邦雄先生より,JSRT会員の皆さんにメッセージが届いています.ご一読ください.

  新任の兼松伸幸先生
「JSMPとJSRTで共同出版しているRadiological Physics and Technology (RPT) 誌は,2008年の創刊より土井邦雄編集長のもとで医学物理及び放射線技術の研究論文や総説を出版してまいりました.この度土井先生が健康上の理由で急遽退任されることになりその後任の編集長として私をご推薦され,両学会の承認を得て本日より正式に編集長を就任することになりました.急なことで私自身も戸惑っておりますが,副編集長や編集委員と力を合わせてRPTの編集を支障なく継続し,国際的な科学雑誌として今後さらに発展させていくつもりでおります.
 土井先生と昨年末に副編集長をご退任された遠藤真広先生にはSenior Advisorとして編集委員会に残っていただき,今後も随時ご相談させていただくことになりました.私の後任の副編集長には筑波大学の榮武二先生にご就任いただきます.ご案内が遅れましたが,7月1日よりRPTは国際医学物理機構IOMPが公式にサポートする雑誌として覚書を締結しております.今後は海外からの投稿が増えると期待しておりますが,日本からも研究論文をぜひご投稿いただくようお願い申し上げます.また査読もほとんどは両学会の会員にお願いしておりますので引き続きご協力をお願いいたします.
 それでは簡単ですが新編集長として着任のご挨拶とさせていただきます.
 
 
 ご退任される土井邦雄先生
 私と日本放射線技術学会との出会いは1963年4月名古屋での学会でした.フィルム会社の研究者による粒状性の特性についての発表があったのですが,会場から「粒状性についてはウィーナースペクトルや自己相関関数を用いて評価するべきではありませんか」との質問が出て,この学会は凄くレベルの高い進歩的な学会だと強い印象を持ちました.質問したのは大阪大学の内田勝先生と紹介され,その後30年以上生涯に渡る交友が始まったのです.私はその後1969年にシカゴ大学に留学し医用放射線画像に関する研究を継続する事になりましたが,今まで51年にもわたる長期滞在になるとは夢にも思っていませんでした.その間,放射線技師の研究支援のためにシカゴ大学で若い放射線技師を短期留学研究者として受け入れ研究指導を行いましたが,多くの方が現在日本各地の大学で研究者として活躍しているのは大変な喜びです.日本国内の研究者の仕事を海外の研究者にも知っていただくために,RPT誌は14年前に創刊されました.しかし,国際的学会誌の研究論文の利用度を示す尺度のインパクトファクターは,未だに取得できていません.今後は,外国の研究者にも利用されるレベルの研究を継続し学術レベルの向上を目指すことが必要です.私は,そのための支援を継続する予定ですが,できるだけ早く実現するのを願っています.
シカゴ大学・群馬県立県民健康科学大学
名誉教授 土井邦雄