「日本学術会議 総合工学委員会 原子力安全に関する分科会(23期以前は原子力事故対応分科会) 原発事故による環境汚染調査に関する検討小委員会」では、東京電力福島第一原子力発電所事故による人体や環境への影響の理解のためには、事故当初の環境モニタリングデータの発掘・収集が重要であるとの観点から、「初期被ばく関連データ発掘・収集ワーキンググループ」や「放射能・放射線測定データアーカイブズワーキンググループ」を設置し、特に事故初期に得られた測定データの収集・活用のための活動を行なってきました。2012年には、22学協会に呼びかけを行い、この事故に関連した環境モニタリングを実施した方々について、測定データの存在の把握のためのアンケート調査を実施しました。これらの情報を元に、異なる分野にまたがった研究活動の連携や、測定データの所在を検索可能とするメタデータベースの作成、などの取り組みを行なってきました。 学術会議からの報告「東京電力福島第一原子力発電所事故による環境汚染の調査研究の進展と課題」(2020年7月7日)においても、『情報や試料の散逸防止のための長期にわたる組織的対応』を求め、データの収集と保全を組織的に行う恒久的な体制や、環境試料についても有用な試料の利用機会確保と散逸防止のため、保管体制の確立と放射性物質を含む不要な試料の処分に関する制度の整備、などの必要性を指摘しているところです。
事故から10年以上が経過し、この間に行われてきた様々な測定データの蓄積は膨大なものとなると同時に、研究者の異動等に伴い、その測定データの公開体制の維持や、測定試料の保管・管理が困難になる状況も考えられます。前回アンケートで重視していた事故後初期の事象から、環境汚染の中長期的な推移へと調査研究の対象が広がってきたことも踏まえ、本小委員会では、改めてアンケートを行い、事故に関わる測定データの現状・公開状況と今後の見通しに関する調査を行うこととしました。本アンケートでは、測定データに加えて、測定試料の公開・保管の現状と将来についての項目も加えました。貴重な試料を後世に残し、事故由来の環境汚染の中長期的な解明とその成果の蓄積を可能とするための組織的な対応の提案など、学界全体として取るべきアクションについての議論を深めるため、これまで測定活動やデータ公開活動に関わって来られた全ての皆様にご協力を頂きたい所存です。
日本国内にどのような測定データや測定試料がどの程度存在しているかを調査することにより、メタデータベースの構築や、試料保管に係る運営体制の整備に資することを目的としております。なお、諸般の事情により、情報提供が困難と思われる場合でも、データや測定試料の有無そのものが貴重な情報ですので、何らかのデータ・測定試料をお持ちの方は、是非ご協力をお願いいたします。また、このアンケートは主に環境モニタリングに関
する情報を対象としておりますが、ホールボディカウンタの測定値等、人体に関連する情報があり、情報提供にあたり倫理委員会の審議等の要件がありましたら、「その他」の欄等に適宜ご記載ください。
皆様方におかれましては、本調査の趣旨をご理解の上、アンケートへのご協力賜りたく、よろしくお願い申し上げます。ご回答は、下記のホームページからご記入頂ける簡便なものとなっています。取りまとめの都合上、令和5年2月28日までに、ご回答をよろしくお願いします。なお、本アンケートの回答結果につきましては、以下のように取り扱います。
・本アンケートで頂いた回答は、上記小委員会及びワーキンググループにおける検討の他、報告者が特定できない形でまとめた結果を、学術会議からの報告資料等への掲載することのみに使用し、それ以外の目的には使用しません。
・メタデータベースの構築にあたっては、回答を頂いた方々にあらためて連絡させていただきますので、本回答が直接メタデータベースに使用されることはありません。
本調査に関する詳細については以下のサイトをご覧ください。
http://radarc311.isee.nagoya-u.ac.jp/questionnaire.html