良いアイデアによる短い論文を書いてください

<Advice to young investigators for submitting a first English manuscript>
Try to write short papers with new good ideas

日本放射線技術学会と日本医学物理学会の両学会は、このたび正式な英語論文学会誌 Radiological Physics and Technology の刊行を決定しています。この創刊号は、2008年1月に発刊される予定です。この英語論文学会誌は、今後の両学会の発展と多くの学会員の学術レベルの向上のために重要な役割を果たすことが期待されています。この学会誌は、医療における放射線科学および技術に関連した、主として、日本国内で実施された研究成果を、世界に向けて発信することを大きな目標の一つにしています。

世界中には、すでに多くの英語論文学会誌がありますが、これらの学会誌に初めて英語の論文を出版したり、外国の著名な学会で初めて研究発表するのは、一般には、決して容易ではありません。したがって、多くの学会員の英語論文の出版の経験を急速に、そして強く推進するためには、さらに、研究成果を国際的に認知してもらうためには、英語論文を書くことが不可欠であり、英語論文学会誌の出版が必要です。そこで、英文誌編集委員会は、初めて英語の論文を書く方や、英語論文の経験の少ない方が、積極的に投稿できるような、会員を育てるための英語論文学会誌が必要だと考えます。そのようなことを想定して、Radiological Physics and Technology では、著者、編集委員、査読者の共同作業によって、英語論文の原稿が改善されていくような査読方針をとることにしています。

さて、初めて英語論文を書く研究者へのアドバイスがあります。それは、できるだけ短い論文を書くことです。論文の内容は、新しいアイデアを中心として、従来の方法や考え方との相異を明確に述べたうえで、そのアイデアの妥当性を証明するデータを示すことです。良いアイデアは、しばしば、大きな貢献をする可能性があります。新しい優れたアイデアの論文には、完全な証明や、多くのデータや、総合的で複雑な分析や議論は、必要ありません。ただし、短い論文でも、研究の目的、方法、結果、考察や結論などは、簡潔でも明確に述べられていることが必要です。論文の価値は、一般に、論文の長さとは関係ありません。DNA の二重ラセン構造の発見でノーベル賞を受賞したワトソンなどの論文は、1ページの短い論文だったことは良く知られています。そこで、新しい良いアイデアを中心にして短い論文を書くことを目標にして下さい。一般に、短い論文は書きやすいです。また、査読者と編集委員にとっても、短い論文のほうが、集中的に時間をかけて、著者にたいする有益なアドバイスを与えるチャンスが増加します。もし、必要があれば、長い総合的な論文は、後日経験が増えてから書けばよいのです。

なお、提出される英語論文の原稿は、英語を母国語とする方が理解できるレベルの英語で記述されている必要があります。そのためには、英語を母国語とする方による添削が必要かもしれません。その場合には、著者の責任で行ってください。提出された原稿の英文が、英語を母国語とする方にとって容易に理解できる程度の場合には、さらに英語論文の推敲の豊富な経験のある専門家によって推敲されます。この推敲の部分は、査読プロセスに必要な一部として、学会の費用によって負担されます。推敲の終了した原稿は、編集委員と査読者による査読が始まります。査読の結果については、英語、または日本語によって、意見交換をすることができます。なお、3名までの編集委員の名前を、希望する査読担当編集委員として提出することができます。しかし、できるだけ希望の実現される努力をしますが、この希望がすべての場合に実現できるとは保証できません。このようなプロセスによって、多くの若い研究者は、英語論文の書き方を学びながら、論文を出版することができるようになると思います。英文誌編集委員会は、会員の皆様の研究成果を世界に発信する大きなチャンスと考えて、多くの会員からの投稿を待っています。 もちろん、英語論文の豊富な経験を持ち、多くの業績のある研究者からの論文も歓迎します。

Kunio Doi, PhD, Editor-in-Chief
Radiological Physics and Technology