近年,学術研究,開発,臨床応用ならびに教育などに取り組むにあたって,法令・規則を遵守し公開の原則のもとに,自らの良心と良識に則って責任ある行動と社会からの信頼が求められています.そのために生命と人権の尊重,安全の確保は私たちの必要最小限の責務です.

 日本放射線技術学会においても日本放射線技術学会雑誌投稿および審査規程*1 第5条≪原稿≫6に「投稿論文は基礎研究,応用研究のいずれにおいても生命倫理に十分な配慮がなされたもの.また,個人情報の保護のために必要な処置を講じたものとする.」と記しています.また,論文投稿の手引き*2  ≪4.投稿論文の取り扱いについて 4-5.生命倫理への配慮および個人情報の保護≫の項目にも「論文の内容は,生命倫理に十分配慮なされていなければならない.人を対象とする生命科学・医学系研究は,必ず倫理審査委員会の承認を受けなければならない.倫理審査委員会の承認を受けた場合は,承認を得た研究であることを本文中に明記すること.また,視覚評価(観察者実験)を行った場合には,実験データを利用し研究発表を行うことに関して観察者全員から事前にインフォームド・コンセントを受けるとともに,その結果を公表することに関して同意を得ていることを明記すること.動物を使用する場合,遺伝子組み換え実験を行う場合においても,相応の委員会にて承認を得なければならない.」と記しています.

しかしながら,最近の本学会の編集委員会に投稿される論文には,生命倫理への配慮および個人情報の保護を満たしていないものがあります.今一度,学術・研究に対する倫理について真摯に考えていただきたく思います.倫理規程の適切な取り扱いのためのガイドライン*3【付 1】本学会で取り扱う研究の適用種別と倫理承認の要否をご確認いただき,該当する研究においては,論文内に下記記載例を参考にその旨を記してください.

 
論文中での記載方法)
 
所属施設の倫理審査委員会で承認を受けている場合
⇒本文中に,●●●大学の倫理審査委員会の承認を受けている旨を記載する
所属施設に倫理審査委員会が無く,施設責任者の承認を受けている場合
⇒本文中に,人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針を遵守し,かつ,当該施設の責任者の承認を受けている旨を記載する
所属施設の倫理審査委員会に申請したが,審査免除(または審査不要)と判断された場合⇒本文中に,倫理承認が不要である理由を記載する

 本学会では,これまでに学会員への生命倫理への配慮および個人情報の保護に関する意識の啓発を目的として,倫理審査相談員講習会を開催し,各支部での相談員の育成にも力を入れてきております.倫理規程の遵守に関して不明な点がある場合は,各支部の倫理審査相談員にご相談ください.詳細な規定等は学会ホームページに記載*4されておりますので参考にしてください.

 また,日本における臨床研究に関する倫理指針が厚生労働省からも公開されています.

*1 https://www.jsrt.or.jp/data/ronbun/magazine-toukou/toukou-01/

*2 https://www.jsrt.or.jp/data/ronbun/magazine-toukou/toukou-03/

*3 https://www.jsrt.or.jp/data/pdf/etc/guideline-rinri.pdf

*4 https://www.jsrt.or.jp/data/about/regulations/