公益社団法人日本放射線技術学会は、医療における放射線技術学に関する研究、知識交換、また関連団体との連携を図り、学術及び医療の進歩発展に寄与することを目的として設立され、国民の健康促進に寄与しています。ここで本学会の冠である放射線技術学について再考してみたいと思います。

 放射線技術学とはどのような学問なのでしょうか?まず、「技術」と「自然科学」は明らかに異なります。広辞苑では、「技術」は「科学を実地に応用して自然の事物を改変・加工し、人間生活に役立てるわざ。」と記載されています。一方、「科学」は「観察や実験など経験的手続きによって実証された法則的・体系。また、個別の専門分野に分かれた学問の総称。」とあります。狭義では自然科学を科学と総称することもありますが、技術学は科学に属します。

 技術は、道具、機械を創造し、それを使いこなす術でありますから、明確な目的を持ち社会的要請に準拠するものであり、自然科学はそれらにとらわれない知的好奇心と言えます。そして、技術と科学を融合させ、技術をエビデンスの基に発展させている学問が「技術学」ではないでしょうか。我々の領域である放射線技術学は、正に自然科学を応用して、医療装置を創り上げ、それを使いこなす技術を構築し、エビデンスを論述して健康社会に還元しています。

 しかし広辞苑には「技術学」という言葉は掲載されていません (今年出版の第7版にはあるかもしれませんが)。すなわち、全く新しい学問体系をわれわれは創り上げていることになります。ここで会員の皆様へのご報告といたしまして、「放射線技術学」が日本学術振興会科学研究費(科研費)の項目に今年度初めて単独で登録されました。放射線医療に関する項目は、小区分として「放射線科学関連」のみであり、その下に、画像診断学、放射線治療学、放射線基礎医学、放射線技術学が挙がっています。すなわち、放射線医学関連の項目は4項目のみで、その1つが放射線技術学であることは賞賛すべきことであり、放射線技術学が学問として完全に市民権を得た証と言えます。これも、会員の皆様の熱意と努力の賜物であり、放射線技術学が科学の1つの専門分野として公に認められ、今後も発展する基盤となったと考えております。現在、学会では学際化を進めています。学際化とは、自然科学と技術と医学、工学、薬学を融合させ放射線技術学と境界領域の学問とをジョイントさせ、さらに発展させることを目的としています。私の基本論は、学問の境界領域の垣根は可能な限り低くすることです。

 おかげさまで、昨年10月には日本循環器学会と学術協定を締結いたしました。これにより、今後は循環器内科・外科の医師とも研究討論を持てる場所を提供できるようになります。医学だけでなく、科学の中のより多くの学問領域と今後議論し合いながら、放射線技術学がさらに発展していくことを期待いたします。最後に、世界的にもユニークな放射線技術学という学問体系をさらに発展させることによって、世界的に医療が向上し、国民の皆様が健康で過ごせるよう本学会は事業を進めたいと思います。